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さっきの場所から少し離れたところ。 セイくんとカゲさんに拾って貰って、彼らの後をとぽとぽとついていった。 実は頭の中はまだぐるぐるしてる。 これからのこととか、ここがどこなのか、とか、どうしてここにいるのか、とか。 原因はあの瞬間、テレビが真っ黒になったあれ……しか考えられない。 そう、私はあの時ゲームをしようとしていた。 買ってきたばかりのゲーム……。 オープニング画面を見ていて……その最後の瞬間に。テレビが真っ黒になって…… 気が付いたらあの場所に、兵士に追っかけられた場所に居た。 こういうのの定石ってーと、やっぱ……とか、思うけど、 まだ信じられない。 これは夢なんじゃないかと、何度も思う。 でもこの感覚は現実。 これから本当にどうしよう……。 いろいろ考え事をしていて、気が付くと、セイくんはすでに焚き火を起こしてその前に座っていた。 私も無意識に焚き火の前に座っていた。 てへ、完全に意識がシの世界へ飛んでたな(爽) ※注・解説しよう!シの世界とは『思考の世界』の事である!同じようにヨミの世界というのもあって、これは『読みの世界』つまり読書。 何かに夢中になってその世界にどっぷりつかっちゃう時に使用される言葉である! 「うわぁ! 焚き火!!凄いーーー!」 だから目の前にあった焚き火を見て、ついはしゃいでしまったよ。 だって焚き火なんてキャンプファイヤーとかの時ぐらいだもんー とってもどきどきわくわくする! 本とかでは火をつけるのって結構時間かかるって書いてたけど、 セイくんはそんな時間かけたふうでも、手間取っているふうでもなかった。 (だって、火打ち石の鳴る音とか全然気が付かなかったもん。まさしくいつのまに!って感じ) よっぽど慣れてるのかもしんないなぁ。 ほんと凄いな、この人。 あ つか!!!なんも手伝いせんかった(汗) セイくん、あんまり気にした様子はないけど…… うう、今度は手伝おう……。 そんな事を考えて、また私が黙り込んでしまうと勘違いさせてしまった。 「疲れてるなら、眠った方が良いよ」 そう声を掛けられて、慌てて答えた。 「え! あ、いえいや……。 その夜っぴきなもんで、あんま眠くはないです」 えへへ、もともと夜型だしね☆ 「ならいいけど」 「それにこんな焚き火ってキャンプファイヤー以来で、なんかどきどきして」 「キャンプファイヤー……」 「はい。 キャンプファイヤーです」 ………………う。 この国ってかここってキャンプファイヤーってあるのかな? なんか服装とか、さっきの話から聞くと、ここ、だいぶ、地球と違う世界なんだけど。 とりあえず、言葉を選びながら、普通の説明をしてみた。 「えっと、学校とかの旅行の時に、よく大きな焚き火作ってその周りでみんなで踊ったり歌を歌ったりしたんですよね」 「踊ったり唄ったり?」 やっぱりそういうのはあんまりないっぽいかな? あ、でもマイムマイムとかの時に男子の手を触るのは嫌。 踊りも嫌いじゃないんだけどね、だって、男子だって嫌な顔するじゃん? 嫌な顔されてまで、大事な手、握って欲しくないやい。 でもくるくる踊るのは大好きなんだな、実は。 自由にドレス棚引かせて、くるくる踊るの! 「はい! 踊りはともかく、歌は面白いです!」 「どんな歌を」 よっしゃあ!!!テンション、上がってきた。 私はよいしょっと立ち上がった。 「えっとですね……」 ごほんと、咳払いを一つ 「もえろーもえろーあざやかにー♪」 ここはやっぱり実演っしょ! 「夏はかっかと照るだろうー冬はーなるだけあたたかくー はるはーやさしく照るがよいー♪もえろーもえろー明るくもえろー消えないようにどんどんもえろーー♪ ……とか……」 最後のとかは少し素に戻った照れ隠しじゃ 唄い終わるとセイくんがぱちぱちと手を叩いてくれた。 「まさか、歌ってくれるとは思わなかったな」 「まぁ、はずみってやつで」 うわぁ恥ずかしいっ!!!! ほら、だって!!焚き火見て、キャンプファイヤーの話して、テンション上がっちゃったんだもんよ!! 「セイくんは歌とか唄わないですか?」 照れついでに聞いてみた。 それから、よいしょ、と座る。 「僕は……唄わないな」 セイくんが少し苦笑混じりに言った。 「すんごく良い声だから歌唄うともっと腰にクると思います」 初めて聞いた時から思ってた。 どきどきする声。その声のトーンとか云々でなく、声に魅力のある人だと思う。 だからこの人が唄う声に興味を持った。 「……機会があったら歌ってくれる?」 おそるおそる聞いてみる。 「機会があって、気が向けば……ね」 「ひゃっほー☆」 バンザイーーー! うん、いつか、いつかで充分。聞けたらいいな。 ……それまで……一緒にいれたらもっといいな。 …………………… ……あれ?今、私、何、思った? 「歌、好きなんだ?」 セイくんに聞かれて、バンザイの手を下ろした。 ま、いいや。あとでまた思い出そう。 「大好きですよー♪ コーラス部だし、そういう集会にも行くし」 と、答え瞬間 ぐう ぎゃーーーーーーーーーーーーー!!!!!! 今何音鳴らしたかね!!この私の腹はーーーーー!!!!!!!!!! 「ひゃあ」 慌てて、お腹を押さえマス……ええ、もう遅いのは重々承知デスガ…… えへ、とセイくんの方を見る。 セイくんは少し驚くと(当然だ)、笑って言ってくれた。 「……お腹空いたな、そういえば。 は?」 「う……うはは……減ってるみた……い」 うわ!! この人!!なんてできた人なんだ!!! うまい事言ってくれたデスヨ!! ありがとう! でもめっっちゃ恥ずかしいっっっ!!! 「携帯食、まだ残ってたかな……」 自分の荷袋を引っくり返そうとしてくれたので慌てて止めた。 つか、今本当に全部ひっくり返そうとしましたね、アナタ……。 「いやいや、それには及ばず! たぶん、持ってこれてる……はず……」 持っていたリュックの中を漁った。 私はゲームをする前に必ず食料を用意する。 そしてそれを自分の前に広げるのではなく、リュックに入れて、食べたくなったら出すのだ。 これは昔読んだ『果てしない物語』という本の影響。 でもこれをやると、ゲームの臨場感が増す(ような気がする)。 特にRPG! お腹が減ったら、キャラクターを宿屋か、野原の景色のよさそうな場所を想定。 そこで画面はそのままに、リュックから出した食べ物を口にすると、ぷちRPG気分(笑) ああ、やっぱりあった。 りんごりんご。 「あったー! りんごー♪」 りんごはやっぱり必須よね。 一個しかないけど、二人で一個でもいいかな、うん。 「セイくんも食います? じゃなくって食べるですか?」 「お言葉に甘えて」 「あい、剥きます。 ちょっと待っててな?」 十徳ナイフも取り出して、剥き始める。 なんだか、一人で食べる為に用意したのを一緒に食べる人がいるのが嬉しくて いつの間にか敬語も忘れていた。 一緒にりんご♪一人じゃない♪ …………浮かれ気分でりんごを剥き…… 途中で何かが足りない事にきがついた…… 「………………しまった!!!皿がない!!!!」 せっかく8つに割って仲良く半文個にしようと思ったのに!!!!! 「そのままでいいよ」 「そすか? じゃあごめんなさい、これで我慢したってね」 不覚。 でもいいって言ってくれてるからいいや☆ 私は頷くと、せめてと思って、手の平をまな板に半分に割って芯を除いた。 (注2:危険ですので、決して真似をしないでください) そういや……カゲさんの姿が見えない。 今更だが、いつから居なくなったんだろう(汗) 聞こうと思ったけど、お腹が減ったのが先で、りんごを食べ出した。 ごめんね、カゲさん、この埋め合わせは必ず……って、でも何処行っちゃったんだろうな、あの人…… ま、いいっか。 「おいしい〜走ったあとやからいつもの倍おいしい〜。 セイくんも一緒に食べてくれてるからもっとおいしい〜」 私がはぐはぐ食べながら言うと、セイくんは食べる手を止めて、私の方を見た。 「…………そういう、もの?」 「うん」 間髪入れず頷く。 「だって一人はつまんないです、ってかセイくん達と会えへんかったら、私死んでる……」 これは本音。 このりんご、食べることもなく、あの兵士に捕まって…………………… 想像したくない……………… 私は顔を上げて、セイくんを見つめ返した。 私は運が良かったんだ……。 助けてくれたのがこの人達で良かった…… 「ありがとうなぁ? セイくん」 せいいっぱいのありがとう、伝えたいよ。 「いいえ、どういたしまして」 目を細め、一度閉じてそれからゆっくり開いて…… そう言ったセイくんの笑顔、私はきっとずっと忘れない。 |