水ー水ー



別に水売りでなく



私は冷たい水が欲しくて、それを置いてあるテーブルにたどり着いたのですよ

歩き歩き、出会う顔見知りから貰ったお酒のおかげで少し顔が火照ってるのがわかる。

でも酔うほどは飲んでない

酒は飲んでも飲まれるな、ってね☆



冷たい水をコップに入れて流し込むと……

もうさいっこうに美味しかった! ここの水はとっても美味しい♪

自然に言葉にも出ちゃうくらい

「ぷはー、うっまい♪ 酒もうまいが水もうまい」

もう一杯水を飲もうとした時

「あれ、ケイ……と、テンプルトン? 珍しい! どうしたの?」

ケイとテンプルトンだ! 珍しいのは二人が一緒にいる事じゃなくって

テンプルトンがこういう場にいるって事なんだけどね。

ケイはテンプルトンの右腕にしがみつくような感じでへろへろになってる。

テンプルトンはいたって普通。 こりゃケイ、そうとう飲んでるかな(汗)


ケイの方は私を見つけると

「あ〜テマリだ〜〜」

と、テンプルトンから離れてたよたとした足取りで、私の方に近付いてきた。


そしてきゅーと抱きついてくる。

うわぁぁ……か、可愛いですよ、ケイーーー!

「ケイ〜たらふく飲んだろうー」

私がぎゅっと抱き返して笑ってると

テンプルトンってば、溜息ついて

「この酔っ払いに、引っ張り出されたんだよ……」

疲れたように言った。

「うはは、いいこっちゃ。 テンプルトンもたまには遊ばなきゃ」

「あははははは〜」

ケイは抱きついたまま笑ってる

ケイってば酔いやすいのに酒好きなのよねぇ


でもケイの酔い方は好き……


だから私も負けずにぎうってするの


「今日中に、書き終わらせたい部分があったのに」

口ではそんなこと言っちゃっても、テンプルトンはケイを心配げに見てる

でもしっかり溜息はついちゃってる


さすがの彼もケイには適わないらしい

「いいじゃん、だって今日はクリスマスなんだよ?」

「僕の生まれた場所じゃ、あんまり関係ないんだけどね」

「いーーーじゃん! お祭りなんて、楽しんだもん勝ちなんだからぁ」

「そうそう。ねー?」

端から見たら私も酔っぱらいかもしれない……


でも、やっぱりせっかくのクリスマスだしね! テンにも遊んで貰わないと!


「……にしてもケイ、飲み過ぎたんじゃない? 顔も赤いよう? 」

ケイとテンプルトンの顔を交互に見る

「そんな事なーーいもーーん♪」

ケイは至って上機嫌

「君も、充分赤いと思うけど」

ツッコまれた!!! 

やはりあなどれんな、テンプルトン

……てかやっぱり酔っぱらいに見えるのか……私


「わ、わ、私のは……大丈夫!」

舌が回らなかったのはツッコまれて焦ったせい……


とりあえず話題を私からずらそう……酔ってはいないがかなり飲んだので否定できん

「あんまり酔うとカイくんやナナミちゃんが心配するぞお」

普段は絶対撫でないケイの頭をいいこいいこすると

「平気だも〜〜ん、酔っ払ってないも〜〜ん」


頭撫でられてんのに、気持ち良さそうにしてるよ!!! 楽しそうだよ!! ケイ!!

くそ! やっぱフリックにはもったいないよ!!!(何)


「水、飲む?」

私はお姉さん気分で優しくケイに言った。 あんま年は変わらなかったはずだけど、この際関係なし!

もう可愛くて仕方がないのだ


「飲ませてやって、その酔っ払いに」

テンプルトンが言った。……もしかしてチャレンジして失敗してるか……?

テンプルトンに向かって笑って頷いてから、

ケイの口元までコップを持っていく。

「はーい。ケイー水ー」

飲みやすい位置に固定すると

「あーーん」

ケイが抱きついたまま、コップに口をつけた。


勘弁してください、鼻血吹きそうです!!!


でもそんな事はおくびも出さず (テンプルトンが少しほっとしてるようだった。 よし、ばれてない)

私はこぼさないようにケイに水を飲ませた。


慣れてるしね……こういうの


水を飲ませて、ほっとしたので、私は忘れないうちに二人に言った。

「あ、プレゼントがあるの。……テンプルトン……ケイをお願い」

ごめん、テンプルトン……だってケイを抱いていたらリュックおろせないんだもーん

私だって、ケイを離すのは辛いのよ?☆


そんなことを思っていると

「テーン、パーース」

「パスじゃないよ、全く…」

酔っていながらもケイは自分からでろっとテンプルトンに抱きつきにいってくれた。

呆れながら抱き止めてくれるとこがテンプルトンのいいとこよね

私はリュックから小さい袋二つ出して

「はい、ケイと、テンプルトンにもー」

と二人に差し出した。

「わーーい、プレゼントーー♪」

嬉々として受け取るケイに、

「僕にも?」

と疑問系で言いながら受け取るテン。

「うん、『僕』にも(笑) こんな人の多い中で会えておめでとうプレゼント」

中身はクッキー。 もちろん手作り。 ケイの方にはクリスマスツリーの飾りがついてる。


この前話してた時、こっちにはツリーはないって聞いたんだよね。

そん時にクリスマスツリーの話をしたらケイが目をきらきらさせて聞いてくれてたから……

だから、ケイと、カイくんとナナミちゃんのには特別にクリスマスツリーの飾りつき(笑)

「これが言ってたクリスマスツリーなわけよ。
かわいいっしょ? 本当はもみの木とかに飾りするんだけどね、さすがに持ってこれなかったので」

「うわぁ……キラキラしてて、高そー……」

あう、痛いところを突かれた……


ごめん……実は百均……貧乏な私を許してケイ


「……ごめんね……これはそんなには……」

私が視線を反らすと、テンプルトンがケイの額に張り手 (もちろん軽く) を入れてツッコんだ

「と云うか、人から貰ったもの、売ったりするなってば」

かーっ、一回、この子を大阪に連れて行きてぇ…………


「あいたっ! そんな事しませんー! キレーだから、高そうだなぁって思っただけだもーん」

膨れるケイに私は

「きれいでしょ?今度本物の写真も見せてあげるね。そんで今度はもっといいのあげるよ」

と、言ってにこっと笑った。

「……テンプルトンには今度地図でも持って来ようかね」

と付け足してみる。

「……僕、別に地図を見るのが好きなわけじゃないんだけど……」

なんか聞こえたが気にすんな!


ケイのほうはもうそりゃあ、普段なら絶対ない無邪気な笑顔で嬉しそうに

「うん、見たい! 約束ね。 ありがとー、テマリー」


答えてくれたのですよ!! もうだめだ……私、ノックダウンだよ、ケイ……



そしてケイにはもう一つプレゼントがあるのだ

「あ、お酒もね、実は一緒に飲もうと思っていちごのスパークリングワイン持ってきてるんだ。 明日にでもこっそり部屋に届けるから、セイくん達には内緒ね」

「苺のワイン!? うわ、何それ! やったーうれしー! テマリ最高! 愛してるーー!!」

あぁ……


思った以上の反応をありがとう!!! ケイーーーっ!!


「私も愛してるうー!」


心の叫びを短い言葉に押さえつつも、私はケイをぎゅーっとした。


ちょっとテンプルトンと私に挟まれるようになるケイ


「まだ飲むつもり?」

テンプルトンってば、かなり呆れた顔

「明日の話だよ、明日のー! あ、絶対セイさんには内緒だかんね!!」

「言わないよ。僕が言わなくても、バレる気がするから」


バレ…………るかな? …………バレたら……ちょっと怖いかも……


「そんなに強いお酒じゃないから、うちのとこの。 テンプルトンもいる?」

「共犯者にはならないよ」

読まれてたか!!!

「残念っ」

言ってみるけど、こっちじゃこのネタわかんないよね(何)


「テンー付き合い悪いー酷いー愛してないーー」

「付き合い悪いよ、酷いよ、愛してないから戻らせてよ」

抱きついて唸るケイの背中を叩きながらテンプルトンが言う。 

そんなに戻りたいか、テンよ


「まぁともかくよ。 ケイちゃん、そろそろ部屋へ連れていっかほうがよくないかね?」

「ヤだ! 戻らないもん!!」

ケイは言い張るけど、気持ちはわかるけど……そろそろ寒さも強まってきたしね?

何より、彼女に風邪引いて欲しくないしな。


「そうだね……撤収する事にする」

大きくテンプルトンが溜息をつく。 そんな盛大な溜息をせんでも

「私もそろそろセイくんとこ戻るし……ケイのことお願いね?」

私が笑うと

「セイさんに、ケイが酔ってるだなんて絶対に言わないでよ!」

今日一番の真剣な顔で、テンプルトンが言った。


当たり前だろう(爽)


「そんなこと雷が落ちても言えるかよ」

私も真剣な顔して返す


それでほっとした顔をしたテンプルトン

あんたもセイくんが怖いか……

「オッケー……まぁ、ケイはちゃんと帰すよ。 自分の為にも」

怖いというよりむしろ火の粉を被りたくないんかね

真正面からへばりついてるケイの体勢を変えて、ケイをおぶるテンプルトン。


そいう男の子らしいとこもおねいさんは大好きさ!!!


「ケイー。 また遊ぼうね、飲もうね」


私はもっかい、最後にケイをぎゅっとした。

「うんー、また遊ぶ。飲むー!!」

テンプルトンの背中でケイが笑う。 

なんだか、私もケイにぎゅってされてる気分……すんごい幸せほわほわ


私は二人に手を振った。


「またねー」

「じゃあね」

「またねーテマリー」

ケイをおぶってるテンプルトンはもちろん手を振り返せないのはわかるけど……


ケイ……その手ぶらぶらはもしかして、手を振ってる気分なのか?

……早く連れて帰ってあげてクダサイ、テンプルトン……


二人を見送ってから、私はくるりっと、踵を返した。




☆さーってと、もっどろうー♪ 






…………………………なんか………………………………




忘れてる?…………………………


「あ……」



(手ぽむ)



「……ごめん、フリックさん。伝言伝えられなかったつか、むしろ伝えれる状況じゃなかったし☆」