| 視界の端に入った煌めく刃の間を抜けて、剣を差し込めば
吹き上がるのは闇。
雨の様に降り注ぐ黒に身体が染められていく。
腕を落とし、胴体と足を二つに分け
首を飛ばし、胸を貫く。
視界を塗り潰す深い黒。
全てが灰色の世界にあって、唯一つの色。
始まりの、この世で一番尊き色。
ぽつ、ぽつと
書物が紙魚に喰われる様に、黒に侵食されていく。
剣を握り締めたままの腕、空を掻く様に蠢く足。
腐った液体を吐き出す顔、穴の開いた身体。
もっと黒を。
この灰の世界に。
何度も何度も刃を振って、幾つもの骸を積み上げる。
貴方の居ない、大きな穴の空いた世界。
この世界は、もう二度と元には戻らない。
でも良いんだ、戻らなくても。
もう一度、始めれば良いだけの話だから。
刃を振上げる。顔を歪めて大きく口を開いて、それは何かを叫んでいる様だ。
脳天に振り下ろす。半分になったのは鼻の上まで、変形した顔から飛び散る闇。
また灰が一つ、黒に塗り替えられた。
ほら、もう少しだ。
あと少し。
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